潮陵記念館は、1980年に竣工した建物で、その名が示す通り、小樽潮陵高等学校の歴史に関する様々な資料を展示することを目的としています。同時に、二階は校舎と渡り廊下で繋がっている広いホールとなっており、現役の高校生たちの演劇や音楽の練習スペースとしても使われています。
この二階ホールは吹き抜け構造となっており、そこに天然木材の内装が調和することで素晴らしい音を響かせる空間を作り上げています。
このため、クラシックの室内楽には最適な環境ですが、完成当時は誰もこのことに思いが寄りませんでした。
このことを最初にお気づきになったのが、1982年に札幌交響楽団のフルーティストとして、たまたま演奏会のために来校されていた札幌交響楽団のフルーティスト細川順三さん(元NHK交響楽団団員)でした。
校内視察の際に記念館の二階ホールに足を踏み入れられた時、手にしたケースからフルートを取り出し、その場で演奏をして音響効果の良さに驚かれたことが契機となり、翌1983年に記念すべき第1回目の潮陵記念館コンサート『フルートの夕べ』が開催されました。
そして、それ以降も演奏会は続き、毎回、国際的に活躍されているアーティストをお迎することができています。
ホール自体が小さいため、観客数が200名を超えると満員になってしまうような小さな小さな会場での小さな小さな演奏会です。
しかし、一流の演奏に対して、息遣いまでが聞こえてくるような距離で向き合うことができる演奏会は、他にはないものと自負しています。
運営は、小樽潮陵高等学校のOB・OGや関係者をメインに、ボランティアが手作りで行っています。
このため、周知する方法も限られ、これまでは小樽のクラシック音楽好きの方々、あるいは小樽潮陵高等学校関係者にとっての「知る人ぞ知る演奏会」に留まっていました。
そこで、今回、第31回目を迎えるにあたり、公式ウェブ・サイトを開設いたしました。
この小さな小さな会場での小さな小さな演奏会が、小樽市内だけでなく、近隣にお住まいの方々や、ひいては全国の音楽愛好家の方々の知るところとなれば幸甚です。